2019年5月18日 重度障がい者社会支援フォーラム

2019年5月18日 重度障がい者社会支援フォーラム

障害者の就労「弱み」も長所に
支援フォーラムで事例発表 
横瀬

成沢さん
ユーモアを交えながら障害者の雇用の大切さを説く成沢さん=横瀬町で

横瀬町芦ケ久保の町施設「あしがくぼ笑楽校」で十八日、勉強会「重度障がい者社会支援フォーラム」が開かれた。 障害者が働くことについての講演や事例の発表などがあり、各地の福祉団体や企業、行政の担当者ら約二百人が、これからの障害者の雇用について考えた。

フォーラムは、障害者に就労を促すことで豊かな社会を目指そうと、寄居町の支援団体「グリーンノート」などでつくる実行委員会が今回初めて実施した。

冒頭、川崎市のNPO法人FDAの理事長で、視覚障害者の成沢俊輔さん(34)が「働くって罪?」と題して基調講演に臨んだ。

成沢さんは、人の弱みと強みは表裏一体にあると説明。 米国では視覚障害がある人に文書の細断を任せ、企業秘密が漏えいすることを防ぐケースがあるほか、成沢さん自身も視力がないために人前で不安や緊張を感じず、講演することが苦にならないと明かした。

また、障害がある子どもの親たちは「答えのない苦しみだ」として、将来を悲観しがちだと分析。 未来にふたをするのではなく「大丈夫だ」と諭し、ともに前を向くよう促した。

このほか、自閉症や発達障害の人たちが、職場でどのように働いているかなどを発表する会もあった。 (出来田敬司)

東京新聞 2019年5月19日

フォーラム 
重度障害者の雇用を考える 
横瀬 埼玉

「障害者が安心して働ける社会」を目指す「重度障がい者社会支援フォーラム」が18日、横瀬町のあしがくぼ笑楽校であった。 全国から障害者の保護者や企業関係者ら約250人が参加した。 障害者雇用に積極的な企業や障害者施設、文部科学省などでつくる実行委員会が主催。 就労困難者の雇用創造を掲げるNPO法人FDAの成沢俊輔理事長(34)が基調講演で 「どんな人でも働く場所があり、社会とつながれる。だから世のお母さんには、大丈夫と伝えたい」 と強調した。 事務局によると、重度障害者をテーマにしたフォーラムは県内で初めてという。 北沢裕美子代表は「障害者の法定雇用率は民間企業で未達成の状態で、障害者に何ができるかという視点から仕事を割り当てる施策への転換を求めたい」と話す。

毎日新聞 2019年5月19日

重度障害者支援で
成沢氏が基調講演 横瀬

横瀬町芦ヶ久保のあしがくぼ笑楽校(旧芦ヶ久保小学校)で「重度障がい者社会支援フォーラム」が行われ、障害者などへの就労支援を行うNPO法人FDA理事長の成沢俊輔氏が「働くって罪?」を演題に基調講演をした。 成沢氏は県立大学保健医療福祉学部福祉学科を卒業。先天的難病の網膜色素変性症により20代前半で視力を失った。障害者雇用分野の当事者で、福祉の専門や経営者の立場も生かし、「世界一明るい視覚障がい者」というキャッチコピーで活動している。 講演で成沢氏は大学時代に2年間、引きこもっていた経験などを紹介。「未来とは修正できると思えた過去。経営という立場で人の命を支えていきたい」と語った。会場には約250人の来場者が集まり、熱心に話を聞いていた。(桜井和憲)

埼玉新聞 2019年5月19日

税田社長インタビュー

障害者雇用を始めて20年の宮崎県の株式会社グローバルクリーンの税田社長にインタビューさせていただきました。 宮崎県の就労継続支援B型施設の工賃向上のために、プロの清掃技術を教えて、市役所のトイレなどの清掃を受託。 プロフェッショナルな清掃により、工賃アップを実現した貴重なお話です!

2019年5月18日 重度障がい者社会支援フォーラム 全体写真
  • 日時2019年(令和元年)5月18日(土)
  • 場所あしがくぼ笑楽校(旧芦ヶ久保小学校)(旧・芦ヶ久保小学校)
    埼玉県秩父郡横瀬町大字芦ヶ久保637
  • 参加者数226名
  • 主催「重度障がい者社会支援フォーラム」実行委員会
  • 共催一般社団法人グリーンノート
  • 後援文部科学省・厚生労働省・埼玉県・埼玉県教育委員会・横瀬町・秩父市・皆野町・長瀞町・小鹿野町・宮崎県・宮崎県延岡市・宮崎県日向市
  • 協力会社
    • 株式会社サイゼリヤ(埼玉)
    • 株式会社ドコモ・プラスハーティ(東京)
    • 埼玉トヨペット株式会社(埼玉)
    • 株式会社グローバルクリーン(宮崎)
    • 有限会社村田商会(埼玉)
    • 株式会社ワタナベ美装(京都)
    • 株式会社ジョンエノワール(東京)
    • 株式会社マネジメントコンサルティング(埼玉)
    • 株式会社北海道健誠社(北海道)
    • フジイコーポレーション株式会社(新潟)
    • ぜんち共済株式会社(東京)
    • 株式会社ベル(大阪)
    • サイコンピューター株式会社(宮崎)
    • 四国菅財株式会社(高知)
    • プロスタイル株式会社(千葉)
    • 有限会社戸田商行(高知)
    • 新日本ビルサービス株式会社(埼玉)
    • 合同会社フリーワークス(大阪)
    • 株式会社きものブレイン(新潟)
    • ラグーナ出版株式会社(鹿児島)
    • 阿川建設株式会社(大阪)
    • 株式会社アドバンス北陸サービス(金沢)
    • 社会保険労務士法人ながたき事務所(大阪)
    • 株式会社ユープラン(埼玉)
    • 株式会社Nextwel(神奈川)
    • 毎日興業株式会社(埼玉) 
    • MCSハートフル株式会社(埼玉)
    • 秩父エフエム株式会社
    • 株式会社障がい者つくし更生会
    • 株式会社コーケン工業
    • 株式会社日本ウェストン
    • 株式会社Foreque
  • 協力メディア事前告知
    • NHKテレビ
    • 埼玉新聞
    • 朝日新聞
    • 埼玉県SNS
    • 所沢ショッパー
    • 秩父1市4町広報紙
    • 寄居町広報紙
    • 協働ステーション中央
  • 協力メディア当日取材
    • 毎日新聞
    • 東京新聞
    • 埼玉新聞
  • 協力団体
    • いい会社研究会
    • NPO法人FDA
    • いどばた(視覚障害者と仲間の会)
    • 埼玉県発達障害センターまほろば
    • NPO法人チューリップ元気の会
    • チーム企
    • 和響座
    • ゲームキャラバンおむすび
    • NPO法人輝HIKARI
    • 一般社団法人 ぶれいん・ゆに~くす
    • NPO法人サコネット秩父
    • ノーマライゼーション教育ネットワーク
    • 一般財団法人秩父地域地場産業振興センター
    • 横瀬町観光・産業振興協会
    • 秩父手をつなぐ育成会
    • 社会福祉法人清心会
    • 一般社団法人秩父おもてなし観光公社
    • 埼玉県障害者雇用総合サポートセンター
    • NPO法人滋賀県社会就労事業振興センター(滋賀)
    • 東洋大学ボランティアチーム
    • 埼玉県立小鹿野高校ボランティア部
  • 協力者
    • 文部科学省関係者有志
    • そば処 しんべい
    • サルベージ(イタリアンレストラン)
  • 来賓
    • 埼玉県立大学副学長 朝日雅也教授(成澤俊輔氏の大学時代の恩師)
    • 株式会社北海道健誠社(旭川)瀧野雅一社長ご夫妻
    • フジイコーポレーション株式会社 藤井大介社長
    • 横瀬町副町長

当日の状況・内容について

当日は、お天気にも恵まれ、地元埼玉県以外にも、北海道、宮城、新潟、石川、茨城、群馬、京都、大阪、奈良、宮崎など、全国から多くの方が参加してくださった。

午前 10:45~ 基調講演

成澤俊輔氏(NPO法人FDA理事長)
講演テーマ「働くって罪?」

前日イスを200準備したが、当日飛び込み参加もあり、立ち見が20名以上あった。 急遽、旧校舎からイスを運び対応した。
『世界一明るい視覚障害者』として活躍されている成澤氏の講演は、プロジェクターなしの言葉のみの講演であったが、成澤氏の熱い想いに全体が引き込まれ、感動して涙を流す方もいた。
成澤さんが、埼玉県立大学時代お世話になった恩師の朝日教授がいらしてくださり、このフォーラムがきっかけになり、卒業以来10年ぶりの再会となりました。 成澤さんにとっては、恩師の前での初めての講演でしたが、朝日先生からは、『成澤さんの話しは誇大ではなく、自身で確認し、また、実際に体験した行動と思索が織りなす「成澤ワールド」に引き込まれてしまいました。一言で表せば「成澤さんにやられた!」。大学で学びの時間を共有した者としては最上級の褒め言葉です』と感想をいただきました。 また、講演会で生まれて初めて泣いたという方もいました。
成澤さんのお話は、体験に基づいたものであり、皆さんのこころに一つひとつの言葉が突き刺さり、感動を巻き起こしました。多くの方にとって、固定概念を打ち破り、生き方を考え直すきっかけになったのではないかと思います。また、「大丈夫」というメッセージは、多くの方に勇気を与えたすばらしい講演でした。

午後 13:30~15:30 各分科会

サイゼリヤ就労定着事例

チャレンジド(障害者本人)とその保護者、会社側の3者が、それぞれの立場から、就労定着できている状況を座談会形式で発表した。
サイゼリヤさんは、事前に話す内容を打合せして、決めておらず、その場でチャレンジドにも保護者の方にも、自由に発言してもらっていた。 チャレンジドの方が、店長と合わず、辞めたいと思ったという話しもあり、会社側にとっては、一見マイナスと思われる発言もあったが、それらを堂々と公表していた。
そして、そのような状況をどうやって乗り越え、辞めないで継続できているか、保護者の方との関わり方も含め、会社側の定着の努力が発表されていた。
今回のような公の場で、ありのままを公表できるということは、会社側が悩みながら、試行錯誤し、努力を重ねてきた結果、10年以上継続できているチャレンジドがいるという現実があり、それら自信の裏付けがあるからできることだと感じた。 私も2月に工場に見学に行かせていただき、定着のための努力とあたたかい配慮があるいい会社であることを肌で感じた。
せっかく就労できても、1年で半数、3年で7割が辞めてしまうという現実があり、サイゼイリヤさんのようなあったかい会社がたくさん増えれば、もっと雇用率もアップすると思った。

発達障害の特徴と事例

埼玉県発達障害センターまほろばの名取課長が、発達障害の特徴と事例をプロジェクターを使い説明した。
その後、NPO法人チューリップ元気の会の代表で、息子さんお二人が自閉症の溝井啓子さんから、その子どもたちとの関わりと自立させるまでの体験をお話いただいた。
社会でも発達障害が話題になっており、その特徴や対応について学びたい方が多く、39名の参加があった。
発達障害と一口に言っても、自閉症や学習障害などそれぞれに特徴があり、それら違いを参加者の方たちが理解できたと思う。
発達障害は、その特徴から、ともすると親のしつけの問題と思われてしまうことも多く、世間の目から、肩身の狭い思いをする親御さんもたくさんいる。その親御さんの育てる苦労も体験からの話しがあり、理解が深まったと思う。 知らないことから差別や偏見が起きるので、まずは多くの方が知ることが大切と感じた。

ドコモ・プラスハーティ重度自閉症の就労事例

NTTドコモの特例子会社のドコモ・プラスハーティの部長の岡本さんから、取り組みの発表があった。清掃事業をやっているが、学習なども取り入れ、自立できるよう取り組みをしている。
一般社団法人ぶれいん・ゆに~くす代表(仙台在住)の伊藤あづささんが、ご自身の重度自閉症の息子を、大阪のドコモに就労に導き、自立させている体験発表があった。
NTTドコモという社会的企業が、障害者を雇用する取り組みは、ただ雇用するだけでなく、社会の一員として自立できるような取り組みもしており、企業の方にも参考になると思う。
重度自閉症と聞くと就労は無理と思う方が多いが、それを実現された伊藤さんの話しは、重度でも就労できるという可能性を参加者たちの方が感じることができたと思う。

宮崎モデル:B型施設の工賃アップ事例

宮崎の就労継続B型施設にプロの清掃を指導し、工賃向上を実現できている株式会社グローバル・クリーンの税田社長が、「障がい者でプロフェッショナル清掃を実現する」宮崎モデルの取り組みの発表を行った。
京都のワタナベ美装の渡邊社長からは、今年4月から始まった、京都の小学校のトイレ掃除を受注しているB型施設の事例発表があった。
そのあと、新品トイレの便器を使って、具体的な清掃のやり方の説明があった。
B型施設は、利用者に対して1日ひとり5700円という補助金で運営されている。1ヶ月の工賃の全国平均は15000円であるが、そのうちの4割は1万円以下というのが実態である。また昨年から国の施策が変わり、1ヶ月の工賃が平均の15000円以下の施設は、段階的に補助金がカットされている。その結果、つぶれている施設も出てきている。その施設に通っていた利用者はどうなるのか、行くところがあればいいが、地域に受け入れてくれる施設がなければ、遠くの施設に通うか、通えない障害者は自宅待機になってしまう。
そのような状況であるが、宮崎モデルを取り入れている施設では、工賃がすべての施設で日本平均を上回っており、2倍以上取れている施設もあり、成功している事例である。
またプロの技術により、適正価格の料金が取れることも障害者の工賃アップに貢献している。
清掃会社はかなりの人手不足であり、プロの清掃技術を取得した障害者が、施設から一般就労していけば、大きな戦力となる。それらの流れをつくっていく可能性があり、今後の展開が期待される取り組みであると思う。

発達障害の特徴改善ボードゲーム紹介

発達障害の特徴として、視野が狭い、集中力が持続しないなど、様々なタイプがある。それらを遊ぶことで改善できるボードゲームの紹介をゲームキャラバンおむすびメンバーの小林信貴さんが行った。そのあと、参加者全員で、ゲームの体験をして遊んだ。
楽しみながら改善できるのは、障害を持った方にとって苦痛ではないので、多くの施設や支援学校でも利用できると思う。障害のない方も、子ども~大人まで、誰もがハマる楽しいゲームである。2名~家族やグループで楽しめ、コミュニケーション力もアップするゲームで、携帯ゲームなどに没頭する方も多い昨今だが、人と直接関わることができ、楽しめるボードゲームがもっと一般にも広まるといいと思う。

ブラインド体験

視覚障害者と仲間の会「いどばた」の木野みずき代表と仲間たちが担当した。アイマスクをして、ペットボトルの水をコップに入れる、お金を支払う、点字ブロックなどの体験を行った。
また視覚障害者は、基本は自分で何でもやりたいと思っていること、すべてを助ける必要がないことなど、当事者からの気持ちも伝えた。視覚障害の方を見かけた時の声のかけ方やお手伝いのやり方など、具体的な方法も分かりやすく教えていただいた。
普段と違う体験をすることで、相手の立場を理解することができ、今までとは違った対応もできるようになった。また声をかける勇気ももらえたと思う。ただ、助ければいいというのではなく、相手の気持ちも考えて対応することの大切さを学べたと思う。

フリーの就労相談

NPO法人FDA理事長の成澤俊輔氏が相談を担当。障害を持った子の親や乳幼児を持つママが相談を受けた。
相談者の立場になって、一緒に考えていく姿勢が、困難を抱えた方たちが、前を向いて頑張ろうという勇気を与えると感じた。

アートふで文字体験

当日飛び込みも含め、35名が参加した。文字が書けない2歳の幼児も、点や線を描いたものにデザインしてもらった。幼児から大人まで、好きな文字や絵を描き、額に入れてもらい、作品も残った。

サムライ体験

小学校3年生以上ということで、申込者が少なかったため、保護者がついていれば、幼児でも大丈夫と条件を変えたことで、多くの親子が参加した。 男児だけでなく、女の子も刀を持って使い方や歩き方、声の出し方を教えてもらい、テレビで見ていたサムライの体験ができ、いい経験になったと思う。 実際に講師を切る体験は、楽しい思い出になったようである。

パネル発表:フランス・ドイツ・スウェーデンの障害者就労について

スウェーデンでは、障害者をカウントすることもなく、障害はあっても、その人ができることで、当たり前に働いている。フランスやドイツでも、日本とは補助金の使い方も違う。 それらを発表することで、日本の制度のあり方や現状を考えるきっかけつくりができたと思う。

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