チャレンジド雇用に力をいれている株式会社サイゼリヤ様の吉川工場見学に伺いました。
サイゼリヤ吉川工場
場所 | 埼玉県吉川市旭2-5 |
訪問日 | 2019年2月5日(火) |
訪問者 | 北澤(実行委員長)、髙橋、仲間 |
ご対応いただいた方 | チャレンジド雇用管理本部代表、チャレンジド雇用管理本部の方、吉川工場総務 |
お話が聞けた障がい者の方 | 3名(物流工場2名・店舗厨房1名) 3名とも知的障がい者だが全員定時社員の立場 |
手記 | 仲間かな |
チャレンジド雇用とは?
雇用形態
本社(肢体不自由者のみ)、工場(吉川工場物流・神奈川工場清掃)、店舗(知的障がい者・精神障がい者)の3形態で行っているそうです。
支援体制(勤務体制)
全員週5日勤務の2日休み
- 正社員(2名):勤続10年以上。健常者と同等の形態
- 準社員(36名):3年未満勤務。重度の方もここに入る。保険の形態は、雇用保険、国民健康保険に加入。 または家族の扶養。
- 定時社員(190名): 勤続3年以上からの勤務形態だが、入社半年で定時社員に登用される例もある。立場としては、現場の戦力になれる状態。定時社員以上は、社会保険に加入。
チャレンジド雇用時はパート採用ですが、社員登用の道もあるそうです。また最初は最低賃金から始まりますが、仕事ができるようになると順次時給がアップするため、皆さんのモチベーションアップに繋がっているといいます。
就労定着の壁
サイゼリヤに限ったことはではなく、一般的に障がい者が就職しても、離職しやすい時期があるようです。それが、半年または3年だと言います。特に「3年の壁」というのは大きいようです。3年で離職してしまう要因として、障がい者本人の自立への意識問題、家族や支援機関および企業側の要因があげられるとのことでした。
保護者の応援も、モチベーションを保つために重要な要因となっているそうです。
また企業側の問題としては、社員が障がい者の方の特徴を理解できていないことがあり、どう関わったらいいかわからず、人間関係がうまくいかなくなる場合があるとのことでした。
企業によっては、契約期間を1年半、または3年として雇用している場合があるため、そこで契約満了となり、継続したくてもできない環境があります。
障がい者が、就労すると、国からの助成金が3年間で1人当たり、最高240万円支給されます。また、雇用して1年半の間は、福利厚生として、障がい者雇用助成金も支給されます。そのため、助成金目当てに、あえて1年半や3年で契約して、辞めさせている企業もあるとのこと。 サイゼリヤでは、このような実態を踏まえて、チャレンジドが定着できるような職場環境を目指すべく、企業努力が行われていました。
サイゼリヤの企業努力
~障がい者も健常者もお互いの気持ちに寄り添える職場へ~
- 研修会の実施:1年に一回、チャレンジドと日ごろ一緒に仕事をしている社員、パートさんを対象に、勉強会や意見交換会や食事会を行っているそうです。お互い働いている人たちの苦労を労うことで、社員、パートさんのモチベーションを持続するのだそう。とくに食事会では、本音で語り合うことができ、時には愚痴も言い合うことで、共感もうまれ、さらにいい関係が保たれているということでした。
- 特別支援学校在籍中に実習実施:就職を目指す人は、実際の現場で、高等部2年と3年時に、5回の実習を行って、職業のマッチングを図ります。
- 実学を通じて特別支援学校の進路指導担当と会社(店長・社員:パート等)と就労意欲面談:一般就労を希望する生徒の人物像、マッチング度や課題を共有していきます。
- サイゼリヤ連絡帳による情報交換:入社当初は、会社側とチャレンジドと家族との情報共有のため、オリジナル版「サイゼリヤ連絡帳」を活用しています。
身分証明書にもなるので、常時携帯してもらう。 このノートは、社員のあったらいいな!が形になったもので、その心温まる配慮をされているサイゼリヤという会社は、いい会社だなと感じました。
実際に障がい者が働いている現場を見た感想
今回は物流工場と、店舗をそれぞれ見学しました。工場は、年間を通じて4℃~5℃に保たれた、かなり寒い環境で、入荷した段ポールから、ワインをコンテナに詰め替える作業など、足腰を使う作業をされている、お二人のチャレンジドに会うことができました。N君(勤続13年)と、Kさん(勤続14年)の2名は、私達が来ても、気が散ることなく、黙々と作業に取り組んでいました。中でも、Kさんは、「働いているのがとても楽しい。人と会って話せるから」と満面の笑みを浮かべて、私達にお話ししてくれました。
彼女のあの笑顔は今でも脳裏に焼き付いています。
店舗見学では、キッチンを担当しているT君と話すことができました。彼は、主婦層や家族で賑わう、ランチの忙しい時間も、キッチンでは洗い物をすべて任されていて、黙々と働いていました。初対面の私たちにも笑顔で応対してくれ、私たちの名前を何度も呼んで、覚えようとしてくれました。
障がい者の雇用は、企業にとって、一般的には難しいとされていますが、今回の見学を通じて、企業側のサポート、特別支援学校、支援機関および家族との連携をしっかりと行うことによって、生き生きと仕事ができている現実をみて、障がい者と健常者のボーダーラインを感じませんでした。
勿論、チャレンジド雇用は、まだまだ課題も山積していますが、実際に出会った、彼ら、彼女らの笑顔や、仕事の取り組みをみていると、大変勇気と元気を貰えました。 サイゼリヤのように、障がい者に理解ある「いい会社」が増えて、障がい者の方がひとりでも多く就労でき、「働いて幸せになる社会」になるよう、私たちも活動していきたいと思います。