株式会社サンロジスティックス(本社 埼玉県所沢市)むさしの配送センター(埼玉県入間郡三芳町)を訪問、見学させていただきました。 総務部 人事課長の土井春夫さんにお話をうかがいました。
株式会社サンロジスティックス
設立 | 2003年2月4日 |
本社 | 埼玉県所沢市日吉町18-1 ARAI-181ビル |
資本金 | 3億8000万円(別途資本準備金1億円) |
従業員数 | 387名(平成27年12月末日現在) |
主な事業内容 | 食品(パン・和洋菓子・デリカテッセン・米など)のパブリック制共同配送 |
事業所 | 全国14箇所(17拠点)に事業所を展開 |
公式ページ | http://www.sunlogi.co.jp/ |
訪問日 | 2017年6月19日(月) |
訪問者 | 北澤裕美子 北澤知也 |
手記 | 北澤裕美子 |
山崎製パンの子会社で、全国に14か所事業所がある物流の会社です。 パンのフジ、パスコ、木村の製品をはじめとして、数多くの食品メーカーからの委託を受け、お弁当、和洋菓子、アボガド、バナナなど大手スーパーを中心に共同配送を行っています。 センター内、トラック内とも、20℃帯で管理する“定温”物流のパイオニアの会社です。
*共同配送を行うことで、必要最低限の車両に抑えることもでき、物流コストや排気ガス排出量の削減に貢献しています。
仕事のメインは夜中で、夕方、食品メーカーから食品が届き、夜中に仕分け作業をし、朝トラックで配送に出るという形態の仕事で、全国で2200店舗に毎日配送しています。
障がい者雇用は、役所の方からの働きかけがあり、8年ほど前から始まっています。 障がい者の仕事は、朝8:15~17:00の1日8時間勤務です。最初は短い時間から、本人、家族と相談しながら、その人に合わせて延ばしていきます。まず7時間で定着させて、数年かけて8時間にしています。 空いたケースを会社ごとに仕分ける、台車を片づける、ゴミや落ちているものを拾ってきれいにするなど、整理、整頓、掃除が、主な仕事です。
通勤は公共機関を使ってもらっています。遠い方で、1時間弱の通勤時間です。 通勤の状況も、会社側はしっかりと把握して、事故のないように配慮しています。 今の現状は、みなさん休むことなく、通ってきています。
障がい者の雇用は、全国14か所中の2か所(埼玉5名、東京3名 内訳は知的障がい者3名、精神障害者5名)を、契約社員として雇用しており、雇用率は4、3%です。 最初は、アルバイト→日給→契約社員という流れです。 福利厚生は一般社員と同じ条件です。 賞与は少ないけれど、出しているとのこと、昇給も1年ごとしているそうです。 給料の額は、月に14~15万円くらいで、他社よりも少し高めです。 本日訪問した三芳町の物流センターでは、5名の障がい者の方が働いています。 東京の配送センターには、3名の方が働いていて、会社全体で8名の方が就労しています。
18歳~50歳代まで、各年代の方がいらっしゃいます。 一番長い方は知的障がいの方で、勤続8年です。 18歳(今年入社)の方は、支援学校時代に体験に来て、卒業時に就労移行支援施設に入っていただき、就労しています。 それ以外の方は、全員中途採用ですが、いろいろな職業を経験してきた方が多いとのことです。 その場合も、直接雇い入れることはしておらず、どの方も、就労移行支援施設を通して就労されています。
定着できるよう工夫していること
- 毎日根気よく教える。
- スピードは求めず、本人の好きなようにやってもらっている。
- 担当者をつけて、見える範囲の中で、ルーチンワークをやってもらっている。
- 就労移行支援施設を通じて、就労してもらっている。
- 就労移行支援施設には、家族や本人へのパイプ役になってもらっている。
- 直接のやり取りでないため、問題があったときも、適切な対処ができる。 会社が家族と直接話しをしても、真意は定着できるよう最初は1~2時間ついてもらっている。
- 定期的に面談を行っている。
- 安心して働き、継続できるよう家族には、何回も会社に来ていただき、仕事内容や安全第一でやっていること、会社側の意向を理解してもらっている。
試行錯誤を繰り返して、やっと定着してきているとのことでした。 障がいの方に合った、またストレスを感じないような仕事を切り出すことが、一番大変だったそうです。
どの方も、障がい者とは感じられない、しっかりとした働きぶりでした。 安全のためと障がい者と見分けがつくように、ヘルメットをかぶって作業しています。 出入り業者の方にも周知して、ヘルメットをかぶっている方には、何かを頼んだり、質問したりしないように配慮しています。 仕事のでき高よりも、安全第一で、怪我や事故を起こさないよう、気をつけてやっているというお話でした。 8:15~17:00の8時間勤務で、ノルマはなく、できたところまでで、時間が来たら終了です。 試行錯誤を繰り返し、継続してもらうために、プレッシャーをかけない働き方として考えた結果とのことです。
精神の方は、軽度ですが、薬を飲みながら継続しています。 昼間は出入り業者の方だけで、人はほとんどいないので、人と関わることはなく、マイペースで仕事をしています。
朝は、ミーティングをやり、挨拶もきちんとできるよう指導しています。 少ない社員ではありますが、声をかけるようにしているとのことです。
担当者の方は、障がいに関する勉強会に出たり、日々の対応から学んで、細かい注意はしない、決めごとはしないというスタンスで関わっています。
今までの経験からの受け入れ側の意識
- 健常者と同じ対応をしてしまうと定着が難しい。
- 最低限をクリアすればよしとしている。
- 社員たちにも、「なぜ障がい者を雇うのか」を理解してもらい、不満が出ないように配慮している。
- 就職面談会も何回も行き、勉強しながらやってきた結果、本人・家族・就労移行支援施設が、三位一体となり取り組むことが大切である。
現在、隣の空き地を工事して、倉庫を広げており、そこが完成したら、障がい者の雇用もさらに考えていくとのお話でした。 試行錯誤を繰り返し、障がい者がしっかりと定着できるように工夫されている会社でした。